ハイハイで散歩中

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ベイビーレイズJAPANのライブを観に行って思ったこと②-ベビレが世界を救うー

前回の記事では、情報は書かないというような前置きをしておきながら、ベイビーレイズJAPANの基本的な情報を書いてしまったり、また知りたくもないであろう僕がベビレにハマったきっかけや、また、ベビレのライブ動画を観た時に思った、アイドルとファンとの関係性などを書いて終わりにした。
今回は、実際にベビレのライブに行き、今までの部屋の中で鑑賞していたライブと、実際のライブとの違いを元に、色々思ったことを書いていこうと思う。

僕は今までアーティストのライブに行ったことは何度かあるが(Dragon Ashなどのロックバンド)、アイドルのライブに行くのは初めてだった。
心なしか、他のアーティストのライブに行く時と、心持ちが違っていた気がする。
なにせアイドルのライブに行くのだ。
男性アーティスト、例えばゴリゴリの男臭いロックバンドのライブに行くのとは訳が違う。
だから、多少の気恥ずかしさがないと言ったら嘘になる。
という訳で、そんな気恥ずかしさや、どこか心の整理がつかない、ふわふわした気持ちのまま会場に向かっていくことになった。
だが、会場に向かう途中、というか駅に降りた時点で、恐らくベビレのライブに行くのだろうな、と思わせる人達を見かけ、なんというか、同じ目的を持つ同志達との一体感というか、それ故の安心感からか、なんのと言われれば即答できないが、整理がつかなかった僕の心も多少整えられ、「楽しむ」という実にシンプルなことを思い出し、そして気持ちが少しラクになることができた。
と、同時にあることにも気がついた。
とても当たり前のことだ。
ベビレのファンは僕だけじゃない
この事実はライブ中に最も強く感じることになる。
つまり、僕対ベビレ、1対1の構図ではないことを、明白に突きつけられてしまった。
いや、当たり前じゃん。なにキモいこと言ってんだよ馬鹿が。
と、思われるかもしれない。
馬鹿。そう。まさにその通りだと思う。こんな自明のことに僕は気がつかなかった、いや、気がつかない振りをして、そのままなかったことにしようとしていたのかもしれない。
前兆はあった。
それはニコ生にベビレが出演した時。
ファンはベビレに向けてコメントを打つ。
コメントする者が多ければ多いほど、画面がそのコメントを埋め尽くし、盛り上がる。
これは、ライブ時における、アイドルとファンの関係性にそのまま置き換えることができる。
アイドルだけがそのライブを作り上げるのではない。ファンも参加することで、初めてそのライブがライブとしての意味を持ち、ファンが応援すれば、アイドルのパフォーマンスに熱さが増し、そしてまたファンも熱くなる。相乗効果。
ファンも一緒になってライブを作り上げる。
ニコ生も同じである。
ファンがコメントすることで、番組が盛り上がり、アイドルのモチベーションが上がり、パフォーマンスが向上する。それに応えるようにまたファンがコメントする。相乗効果。
ファンも一緒になって番組を作り上げる。
だが、この時、僅かながらあることに気がつく。
僕だけの言葉が画面上に流れるわけじゃない
普段、ただライブ動画を観ているだけだと気がつかない。
僕は、僕の世界で、僕の空間だけで、閉塞された世界でベビレを観ている。
そこには、僕対ベビレ、この一対しかない。
もちろんライブ動画中に、ファンの姿も目に入るし、コールだって聞こえている。
ただそれらは、ライブというエンターテイメントの中に飲み込まれてしまい、僕からしたら、ライブを構成する一要素としか思わない。
もっと言えば、僕対ベビレの一対と言ったが、それは決してインタラクティブ(双方向)ではない。
僕からの一方的な、あるいは僕の思い込みによる鑑賞だ。
そういう意味での、僕だけのベビレ。僕の世界だけのベビレ。
ところが、ニコ生の画面上に無数に流れるコメントを見ると、言葉という生き物(コメントが右から左に流れていくので、生き物感が増す)、つまりファンの言葉を否応なく目撃してしまう。
今まで見えてこなかった僕以外のファンの可視化である。
ただ、ニコ生はまだ言葉だけなので、それほどの実体感は伴わない。だから気がつかない振りができる。
それが、ライブ会場は違う。
ファンの姿が明白に視界に入ってくる。
否応ない、まごうことなき可視化。
みながベビレを目的とし、嬉々とした表情を浮かべさえしている。
僕だけじゃないのだ。
ベビレが好きなのは。
 
そして、ライブが始まる。またここでも可視化の明瞭化は止まらない。
僕の周りをファンが囲っている。
みんながコールをしている。
僕対ベビレの一対だけではない。隣を見れば、いや見なくても、無数の対が、ベビレに向かっているのが分かる。
みながベビレを見て、ベビレに向かって拳を掲げ、コールをする。
僕だけじゃない。
僕だけじゃないのだ。
ベビレが好きなのは。
 
そして、僕以外のファンの可視化により、もう一つ強く思ったことがある。
それは、やはりベビレはアイドルだということだ。
Wikipediaで「アイドル」を調べてみたら、一見当然のような一文が、僕の胸を打った。
 

外見が最も重要視されるモデルとは異なり、容姿が圧倒的である必要はなく親しみやすい存在であることが多い。一方で、はっきりと目には見えない“華”や“人間的魅力”が強く求められるため、一流のアイドルは手が届きそうで届かない存在となる。(Wikipediaより)


この最後の一文にある、「手が届きそうで届かない存在」。
このことを強く思わされた。
部屋でライブ動画を観ている時は、僕だけのベビレであるように錯覚する。
あたかも手が届きそうである。
だが、実際ライブに足を運んでみると、それは幻想であることに気がつく。
僕とベビレの間には圧倒的な隔たり、圧倒的な距離感がある。
それは、会場にいるファンの多さ、多数のファンの可視化により、俄然アイドルを尊い存在にさせる。

また、物理的にも遠かった。僕は後ろの方で観ていたので、前の人の頭を交わしながら、かろうじて見えるという場所(ただりおトンだけはよく見えた。あんなにりおトンが笑顔を振りまいているとは知らなかった。さすがライブである)であった。

遠い。ファンの頭越しに観るベビレ。
そして、ステージの存在。
ステージに立つ者と、立たざる者。このステージの、一線を画してしまう存在感は、圧倒的な距離感を生み出す。隔てる。
僕は思い知る。ベビレとの距離を。
部屋で観ていた時には気がつかなかった。
どこか手の届きそうな存在だった。
それがライブに来たことで、ファンの可視化、物理的な距離、ステージの存在、それらにより、届かないことを実感する。
届きそうで、届かない。
それ故に、アイドル。
 
また、少し話は逸れるが、以上のことは全て僕の主観に収斂される。
ここがもしかすると、一番の根幹というか、大前提になるのかもしれないが、アイドルをアイドルにさせる、もしくは、アイドルのみに限らず、有名人一般に漂うオーラのような、ある種神秘的な雰囲気は、それを見る側、主観側の問題により発生する。
見る側がそれらを付与する。
その付与を構成しているのは、その対象についての情報、つまり、容姿・雰囲気・所作、または知識など。そして一番は、その対象への「興味」だろう。
それら要素が、その対象に神秘的な雰囲気を纏わせる。ある種の錯覚である。
つまり、主観の側の問題。
そして、その主観が、アイドルをアイドルにさせている。
だから、僕が、アイドルとの距離を感じたのは、いわば、自分自身のせいなのだ。
僕が、僕自身が、ベビレをアイドルと認識させているのだ。
言わばジレンマの介在。アイドルをアイドルと認識するほど、遠ざかる。
ゆえに、届きそうで届かない。
 
とまあ、一見、ここまでなんか悲観的なことばかり書いているように思われるかもしれないが、僕にとっては色々なことに気づけてむしろプラスである。
だけど、最後は分かりやすく嬉しかったことを書いて終わりにしようと思う。
 
それは、ファン達との一体感である。
僕は実は、ライブ動画を観ている時から、すごくファンのコールに参加したかった。
ベビレの一番の魅力はライブのエモさだと思っている僕は、そのエモいライブを作り上げている一要素であるファンのコールに携わりたかった。中に入りたかった。
だからライブ中も周りの虎ガー(今更ながら説明すると、ベビレのファンのことを虎ガーという)さんのコールを見よう見まねでやった。周りの虎ガーさん達はとても熱かった。だから僕も恥ずかしがることなく(最初はちょっとは恥ずかしかった)、コールができた。
その時に感じた同志感。仲間感。一体感。
僕は、たとえベビレのメンバーの姿が見えなくとも、この熱い一体感の中に入れている、参加できている、そして自分も作り上げている実感を享受できただけで、それだけで本気で来てよかったと思った。
僕はどちらかと言えば、寄り合い的なもの、馴れ合い的なものはクソ喰らえと思うタイプである。
たが、あの時の一体感はそんなものと違った。
別に言葉は交わしていない。ただ、同じ目的のために熱く拳を掲げる。
この感じがとても心地よかった。
ライブ会場からの帰路でも思った。
どんなに腹が立ったとしても、どんなにバカだと見下したくなったとしても、でも、こいつはベビレが好きなんだよな。と、「ベビレが好き」、その一点だけでも思えることができたなら、そいつらを嫌いになるなんて到底できない、と。
むしろ、愛おしささえ感じてしまう、と。
ベビレが世界を救う。
なんつって。
なんか、そんな風に最後は思いました。
最後に、ライブ動画を貼っておしまいです。
長々書いてきてすみません。
これで終わりにします。
ありがとうございました。