ハイハイで散歩中

面白いと思ったものをただただ紹介したり、またはただの雑記に成り果てそうです。

ハイハイで散歩中

体育会系な面も見せてくれるブックオフ

1.長めの前置き

誤解のないように前置きしておくが、これは、ブックオフを批判するものでも、そこで働く店員さんを批判するものでもない。(どうして一所懸命に働く店員さんを批判することができようか)
出会ったばかりの知識を、誰かに衒学(げんがく)的に話す時がある。その時、自分の中で、ある種類の感情に衝き動かされながら話していることに気づく。
まだ曖昧な知識が、しっかり自分の中で血肉化されないままに、ただただ不毛な優越感の快楽のために、欲望のままに話すあの、話し始めた瞬間から後悔し始めている罪悪感を伴うトーク。
これと似たメカニズムで、自分の中で面白いと思ったこと(ほとんどが侮蔑の内容)を、そのトークを発して良いのか悪いのかの検閲機関を勢いよく無視して、誰かに話してしまう場合がある。いかに不毛な結果に終わろうと、ただその思い付いた面白いことを死滅させまいと、今この瞬間に伝えたいんや!、というワガママな欲望のもとに話すあの感情。
なぜか、このブログを書き始めた瞬間から、その駄々っ子の感情がアクセルを全開にし、とうに検閲機関を暴走突破していることを、また、そのことを全力で黙殺している自分がいることを、恥ずかしくもあり、また可愛らしくも思ってしまうのも否定できないでいることは大目に見てほしい。

2.さらに長めの前置き

数多の店舗数があるブックオフだが、今回紹介したいのは、某サンシャイン60通り沿いにある、某サンシャインシティ入り口手前にあるビルの、2階と、3階で営業している店舗だ。
この立地、僕にそれなりの覚悟を強いてくる。というのは、当ブックオフに行くには、僕は山の手線の某池袋駅で降りる。降りる瞬間に入れたくない、ある程度の気合を入れる。待っているのは(僕のために待ってくれていれば助かるのだが)大勢の人混み。僕は人混みの中を歩く時はいささか目つきが鋭くなってしまう(未熟者の証拠だと自負している)。その血走らせた目を携えて東口へと向かう。人が障害となり、進むペースが遅くなり、距離が長く感じられ、東口を出て空を拝める頃には大分疲弊している。さらにそこから目的地に向かうには、継続された人混みの中を、一層目を鋭くさせて、意外に長い距離を歩かなければならない。
そして目的地を前にすると、まるでオアシスを見つけた気持ちになっている(このことから、どんな瑣末に思っていた場所でも、自分の気持ち次第でオアシス(瞬間的拠り所)になることを学ぶことができる)。
僕はブックオフのためだけに池袋駅に降りる人はもしかして少ないのではないかと思ったりした。だって結構ピリピリして歩かなければならないのは、自分自身にも、他人にも迷惑な話だと思うからだ。池袋での傷害事件の当該者に聴取すれば、大半、ブックオフに行く途中だったと白状するんではないかと、思ったり思わなかったりしたところ、次はやっと本題(店舗)に入る。いらっしゃいませこんにちわー。

3.やっと本題

3階の方の文庫・単行本・コミックコーナーに入った。土曜日に行ったからなのか、ここでも池袋特有の人混みの多さは健在であった。ただ、今までと違うのは、僕に安堵感があるということ。目的は書籍である。その目的物に集中、入り込める。僕だけの空間になれる。そしてそれは他の客も同様だ。みな書籍に没入する(少数だが、手持無沙汰・所在なさげにしている女の子もいるが)。周囲の人を気にしない。書籍に逃げ込めると言ってもいいのかもしれない。そのような、自分を気にする人がいないという空間だからこそ、安堵感が訪れるのかもしれない(いかに自分が外を歩く時自意識過剰になっているのかが分かる)
また、本屋というのはやはり落ち着く。本屋にいるとトイレに行きたくなるのは、リラックス効果が本屋にはあるとの説もあるくらいだ(だが頻尿の僕は、不思議と本屋ではトイレに行きたくならない)。その陳列された書籍。沈黙の静謐物。それを見ていると愛おしくさえ思えてくる。そのひっそりとただずむ静かなフォルム・・・

いらっしゃいませこんにちわー

これぞブックオフであった。
漫画コーナーはそうでもなかったが、文庫コーナーに移ると、そこは年末の蕎麦屋のような慌ただしさと、少しピリついた雰囲気で、時間に追われるように働く多数の店員さんがいた。そして適度に挿入してくる、

いらっしゃいませこんにちわー

誰か1人が発声すると、続いて周囲の店員が合わせて発声する。
僕は学生時代所属していたバスケット部を思い出した。ランニングの時の掛け声。
まるで体育会系じゃないかと思った。
ゆっくり本を選んでいる僕の周囲では、忙しなく動いて整理に励む店員達。
まるで体育会系じゃないか。
ただ面白いのは、「いらっしゃいませこんにちわー」の発声が各人異なるということだ。体育会系宜しく元気に発声する店員がいるかと思えば、まるで脆弱なふにゃにゃした、電車の車掌さんかなと思うくらい頼りない文化系な発声をする店員もいる。

いらっしゃいませこんにちわー(文化系Ver.)

あんまり先陣を切って発声しない方がいいんじゃないかと思うくらいふにゃふにゃしている発声なのだが、ただこの発声が文化系な店員、本の整理に関しては一目置かれているようである。
その店員が本を小気味よく整理していたところ、ある女性の店員がやってきて、
「やっぱ、あそこの棚を時間内に終わらせることできるのは〇〇(その店員の名前)しかいねえわ。あとで頼むわ」ほんと参った、あんたにはかなわねえや。と、なにかのドラマを見ているかのような、妙に演技がかった態度と台詞を吐いたかと思えば、その凄腕整理職人は、
「(全くしょうがねえな、分かった、こっちやったらすぐ向かうよ、という含みを十分に持たせた表情・そして肩をすくめた後)・・・りょーかい」と、こちらも演技がかって応答していた。(いつも不思議に思うのだが、いわゆるオタク系女子と思われる子の話し方は何故あんなに独特で、妙に演技がかっているのだろうか。僕は男性よりも女性の方のその喋り方に敏感に反応してしまう)。
その無気力な感じが、一層、こいつとんでもねえスピードで整理するんだろうな、という雰囲気を醸し出していた。
そのドラマの一場面を展開していた逆サイドでは、新人の店員がベテランとおぼしき店員に切迫した雰囲気で仕事を教わっていた。そしてその雰囲気をさらに切迫したものとするべく、別の店員が切迫した口調で、「〇時までに〇棚終わらせてください」と言ったきり、素早く姿を消した。その数秒後また現れ、「〇時っていうのは、既に延長された時間なんで、早めに終わらせてください」とまた言ったきり、さっと姿を消した。
そして、また聞こえくる、

いらっしゃいませこんにちわー(文化系Ver.)

まるで体育会系じゃないか。

ただ、やはりそれだけきびきび働いているだけあって、品揃えは充実しているように思う(これは直観です)。そして結構広い(これは実感)。そして可愛い店員さんもいた(これには敏感。もちろん僕の好みのタイプの可愛い店員さんという意味で)。
そして、本棚を見ると、「文庫・ライトノベル20%OFF」の貼り紙が貼ってある。
いつまでのセールなのか分からないが、お安くなるらしいです。ぜひ行ってみてはいかがでしょうか。