ハイハイで散歩中

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ノスタルジックに溺れそうになるアニメ「ハイスコアガール」が超超超良かった。

ハイスコアガール CONTINUE 1巻 ハイスコアガールCONTINUE (デジタル版ビッグガンガンコミックスSUPER) 


2018年(第一期)・2019年(第二期)に放送された、押切蓮介原作のアニメ「ハイスコアガール」をNetflixでこの前観ました。

めちゃめちゃ良かったです。観終わって数日経ちましたが、喪失感にいまだ襲われています。

この作品、タイトルからも察せられるように、ゲームを主軸として物語が進行していきます。

しかも、90年代のゲームセンターなどにあるアーケードゲームが主になっています(家庭用ゲームも出てきますが、やはり肝はゲームセンターでしょう。筐体ラブ)。

僕は88年生まれなので、主に91年〜95年のゲームを取り扱う本作品とドンピシャ世代とは言い難いのですが、それでも小学生の時に足繁くゲーセンに通い、格ゲーを好んでやっていた僕にとっても親しみやすい作品であることに変わりはありません。

ストリートファイターシリーズや、バーチャファイター、サムライスピリッツ、ヴァンパイアハンター等、懐かしい名前が出てくるたび胸がきゅうっと締め付けられます。

ハメ技や隠しキャラ(豪鬼)の出し方、対戦相手が歳上で強面だと現実世界のリアルファイトを回避するためワザと負けるだとか、その他ゲーセン内あるあるもふんだんに盛り込まれています。

主軸はゲームであるものの、物語のテイストはラブコメです。

主人公のハルオとヒロイン大野さんの、ゲームと暴力を介してのかなり特殊なコミュニケーションが見所です。

 

大野さんは典型的なお嬢様育ちで、毎日みっちりお稽古事が詰まっています。そして、毒親的教育を受けており、かなり厳しい家庭環境にあります。

その反動で、未知なる世界のゲーセンに憧れを抱き、付き人・爺やの力を借りて、こっそりとゲーセン通いに勤しみ、みるみるゲームの腕が上達したのでありました。というか最初から強かったですが(スト2初プレイでザンギエフで全クリしてしまう位ですから)。

また、大野さんは基本的に喋らず、食べる時に「もがー」という擬音を発する時くらいしか声を聞くことはできません。

なので、才色兼備な高嶺の花の上に、コミュニケーション下手ときたもんだから、心を許せる友人もいなく、孤高の存在になっています。

ハルオの魅力な点は、「お前は本当に喋らねーな」と、大野さんを「かなりの変人」認定しつつも、クラスのみんなの様に高嶺の花的距離を取るのではなく、「自分よりも格ゲーが強い人物」、「唯一ゲームの話しをできる人物」という、お嬢様とかどうでもよくて、下心なく、ただ「趣味が合う友人」として大野さんとちゃんと接するところにあると思います。

だから大野さんもハルオにだんだん惹かれていくんだと思います。

 

物語は、小学生編・中学生編・高校生編とあり、途中からラブコメお馴染みの三角関係の構図が入り込んできます。

中学生編から「日高」という、三角関係の一端を担う女の子が出てくるのですが、このキャラもかなり魅力的なキャラをしていて、いっそう物語を面白くしてくれています。

 

僕がこの作品で魅力だなと思う点は、登場人物の心理描写を、ゲーム内で昇華・体現させるところかなと思います。

特に大野さんは喋らないので、ハルオに対する気持ちを、ファイナルファイトだったりなどの格ゲーでハルオ(視聴者)は読み取ったりします。

あとはガイルがハルオの脳内に出てきて、背中を押すようなアドバイスや勇気づける台詞を言ってくれ、いかにハルオがゲーム脳に支配されているのかが分かるのですが、それらシュールなユーモアともとれる演出が絶妙に面白いです。

シュールなユーモアのようでいて物語の展開に大きく関わっている大野と日高のスパ2Xでの対決シーンは作品屈指の名シーンだと思います。

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そんなシュール・ユーモア的演出を施しつつも、ちゃんとラブストーリーや人間ドラマを見せてくれ、最後は泣かせる展開に持っていってくれるので、押切蓮介恐るべしといったところだし、やはり観賞中の胸がきゅうっとなるノスタルジー&センチメンタルな感覚は忘れることができません。

「オレ達ガキが、時代の変化を目の当たりにできる場所ってのは、ゲーセンなんじゃねえのかってオレは感じたぜ」

なぜかハルオのこのセリフが僕の心に今もグッと刺さっています。

 

物語もとても面白いですが、アニメには欠かすことのできない、主題歌もとても良いです。

1期・2期を通して、OPを、現在は解散してしまいましたがアイドルグループの「sora tob sakana(ソラトブサカナ)」さん、EDを、相対性理論などでお馴染みの「やくしまるえつこ」さんが担当しています。

OP楽曲は、「ハイスコアガール」に相応しいゲーム音楽調です。僕的には、1期よりも、2期の『flash』の方が好みです。こちらは1期よりもより洗練されている感じがして、しかしシンプルになりながらもどこか円熟味というか深みが感じられ、切なさUP、そして爽快感UPといった印象を受けました。

また、2期の最終話のEDでこの『flash』がかかるのですが、むちゃくちゃポジティブな気持ちになれ、物語は終わっていない、これは新たなステージの幕開けなんや感がブワーっと込み上げてきて、物語の余韻の哀愁と、前向きな高揚感が共存している素晴らしい選曲だなと思いました。

そしてEDのやくしまるさんの楽曲ですが、単純に僕が相対性理論や、やくしまるさんのファンだということもあって、無条件で良いと思ってしまいました。

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「大野さんの心の代弁者。ミュージシャンになった大野さんそのもの」的なことを言わせてしまう押切蓮介直々のオファーは当然と思わせる『放課後ディストラクション』は最高にキュートでノスタルジックでおセンチでした。

言葉選びや遊びが、やくしまる節全開ですが、よくもまあこんなに作品にあったセンスの良い言葉をチョイスできるもんだなと、感服させられるばかりです。

EDアニメーションも良いですね。最後スパッと終わらずに、少し余韻を残すあたり粋だなと思っております(そんな意図ないのかもしれませんが)。

2期の『アンノウン・ワールドマップ』は、EDM調になっていて、新しい風や展開をイメージさせてくれ、こちらも良き楽曲でした。 

改めてやくしまるさんの魅力を感じられる機会にもなり、「ハイスコアガール」には色々感謝しております。 

 

あと一つ言いたいのが、僕がこの作品に魅力を感じている最大の要因は、ハルオや大野さんが、全力で、そして必死に人生を生きているように見え、とても元気をもらえるところだと思っています。

周囲を気にせず、何かに没頭し、それらを全力で享受する人達を見るのはとても気持ちがいいです。そして、だからこそ、感動できるのだと思います。

 

最後に、僕は時折「山田玲司のヤングサンデー」という、漫画家・山田玲司さんがやっているニコ生の番組を好んで観るのですが、そこで山田玲司さんがハイスコアガールを絶賛していました。

また、色々解説もしていて、最初の1時間だけは毎回YouTubeでも無料放送枠として流しているので、興味のある方はぜひ観てみてほしいです(無料放送枠のYouTubeでは『ボヘミアンラプソディ』の感想が主になっていますが。。。)

「ハイスコアガール」、とにかく超超超面白いです。興味がある方はぜひ観てみてください。

それでは!