ハイハイで散歩中

面白いと思ったものをただただ紹介したり、またはただの雑記に成り果てそうです。

ハイハイで散歩中

「イエスタデイをうたって」とRCサクセション

 

僕は最近、友人に勧められて、毎週土曜の深夜に放送されているアニメ「イエスタデイをうたって」を観ています。

本作は、1998年〜2015年まで、ジャンプ系の雑誌で連載されていた、著者・冬目景の漫画が原作になっています。

僕はこの作品については、タイトルだけは耳にしていたものの、内容は全く知りませんでした。

早速、数話観始めたのですが、まず思ったのが、「いや、ほぼ『めぞん一刻』じゃん!」ということでした。

『めぞん一刻』の世界から、アパートの「一刻館」や、ドタバタわちゃわちゃ感、ユーモア、一つの街(世界)感を差し引いた、いわゆる「るーみっくわーるど(高橋留美子の世界観)」を排したものが、「イエスタデイをうたって」のような気がします。

いや、そんなこと言ったら「イエスタデイをうたって」に悪い気がするし、正直、毎週楽しく観ているので、ここら辺で悲観的な感想は止めておきます。

『めぞん一刻』の既視感以外に思ったことは、アニメに導入されてくる音楽がなんか良いな、ということでした。

どこかレトロな雰囲気というか、アニメの作品自体も、携帯電話が登場しないところなど昔ながらのレトロ感があるので、それに非常にマッチしていると思いました。

ただし、作中の音楽は非常に良かったのですが、第1話~6話までのエンディング主題歌だけは、あまり僕的にはしっくりこない、微妙な感覚で聴いていました。別に楽曲が良くないということではなく、単純に作品にしっくりきていないという意味で、なんか微妙だということです。

しかし、第7話以降から主題歌が変わり、「酸欠少女さユり」の『葵橋』に変更されました。

その楽曲は非常に「イエスタデイをうたって」の世界観にマッチしているように思われ、エンディングのアニメーションも、ゲームセンターにあるアーケード機が映されていて、一層レトロ感に拍車をかけていて、これで音楽面は僕的にはしっくりくる、手放しで称賛できる雰囲気の良い作品だなあと思えるようになりました(生意気言ってすみません)。

そしてなんと、全12話の作品であるのに対し(現段階までは第11話まで放送済)、第10話からまたエンディング主題歌が変更されました。

その曲が、本記事タイトルにもなっている、忌野清志郎が率いていたロックバンド「RCサクセション」の楽曲『イエスタデイをうたって』です。

ただし、RCの楽曲そのままに流しているのではなく、現段階ではクレジット不明のアーティストがカバーしているバージョンが流れています。

そもそも本作品のタイトルが、このRCの『イエスタデイをうたって』から取られているそうです(wikipedia情報です)。

僕は、RCサクセションの楽曲は、忌野清志郎が亡くなった時に、不謹慎かもしれませんが、ミーハー心でベスト盤を買って聴いたのが、ちゃんとRCや清志郎と対峙した最初の記憶です。

ただし、その当時心に引っ掛かった楽曲は、有名曲ばかりで、「雨上がりの夜空に」や、「スローバラード」、「トランジスタラジオ」、「デイドリームビリーバー」などでした。

また、初期の「宝くじは買わない」や「僕の好きな先生」なども印象的でしたが、中・後期の楽曲ほどよりは、心に引っ掛かりませんでした。

そこで、今回このアニメ「イエスタデイをうたって」をきっかけに、本家のRCの『イエスタデイをうたって』を聴いてみようと思い、アップルミュージックで探し出し、今年発売された、シングル曲がコンプリートされたアルバムから早速聴いてみました。


COMPLETE EPLP ~ALL TIME SINGLE COLLECTION~


聴いて思ったのが、「良いじゃん!RC!」ということでした。

正直、アニメバージョンの『イエスタデイをうたって』よりも、断然良いなと思ってしまいました。

『イエスタデイをうたって』は、RCのセカンドシングル「涙でいっぱい」のB面に収録されているので、RCの歴史の中ではだいぶ古い楽曲です。

初期のRCはエレキ化しておらず、どちらかと言うとフォークグループという感じで、『イエスタデイをうたって』の時は、2本のアコギに1つのウッドベースというトリオ編成でありました。

しかしこのグループ、フォーク・グループという言葉では括れない、どこかブルースっぽくもあり、サイケ色もあり、アシッド感もある、独特の魅力を放ったバンドだという印象を受けました。

だからこそ、アニメバージョンの『イエスタデイをうたって』を聴き返すと、物足りなさを感じてしまいます。

アニメバージョンは恐らく、ドラムとキーボードが加わっていて(その他の楽器も加わっているかもしれませんが)、かなり俗っぽいアレンジになってしまっています(まあ今の時代にカバーするんだから、俗っぽくなって当然なのかもしれませんが)。

初期のRCはシンプル編成だからこそ、弦の強弱や、不安定さ、歪さ、違和感など、それら魅力がそのまま感じやすく、感動がダイレクトに胸に伝わってくる感じがします。

あとなんと言っても、アニメバージョンとの違いは、歌声でしょうね。やはり清志郎の歌声は唯一無二だと改めて感じさせられました。あの声の存在感は、清志郎ならではです。


『イエスタデイをうたって』の他にもたくさんの良曲がありました。

特に「三番目に大事なもの」は良かったです。


冒頭の、呪詛の様な(笑)というか、サイケなコーラスやギターサウンドの導入で一気に胸を掴まれた直後、一変、優しい曲調・歌声が紡がれるというこの違和感が良いですね。

今じゃこの頃の曲もサブスクやらで簡単に聴くことが可能ですが、当時はレコードもすぐに入手困難になり、CD再発も後年になってからのことだったらしいので、本当に今の時代は恵まれているなと改めて感じさせられます。

重複しますが、清志郎の歌声は、本当に魅力的だなと思いました。独特な声質ですが、優しくもあり、パワフルでもあり、ソウルフルでもあり、まさに唯一無二の「清志郎の歌声」って感じです。聴くと元気をもらえますね。

今回このアニメ「イエスタデイをうたって」は、この清志郎やRCサクセションの魅力に改めて気づかせてもらえたという点でも、観て良かったと思いましたね。

次で最終回だと思いますが、まだ観ていないという方は、Amazonプライムか、AbemaTVで過去放送も観れますので(まあ有料ですけど)、内容どうこう、レトロな雰囲気だけでも楽しめると思うので、良かったら観てみてください。

あとRCの楽曲も良かったら。

それでは!