ハイハイで散歩中

面白いと思ったものをただただ紹介したり、またはただの雑記に成り果てそうです。

ハイハイで散歩中

さよなら、西荻窪。


さよなら小沢健二

 

引越しました。

僕は東京杉並区にある西荻窪に住んでいて、気づけば8年間そこに滞在していた。

振り返ってみればあっという間であり、色々なかったようでいて、色々あった8年間だった。

西荻窪はアメリカの作家ポールオースターの小説のような街だなと直感的に思っていて、洗練されており、上品で、だけどどこか素朴で、そしてひねくれているような街。

僕が住んでいたのは、駅北口から出て10分ほどにある、閑静な住宅地の場所だったので、一層上品さの印象が強かったのかもしれない。

その辺り一帯は、各家々が軒並みお洒落というか個性的というか上品であり、また外車等置いてあることからも、お金持ちが多く住んでいるんではなかろうか(聞くところによれば西荻の奥地は高級住宅地であるらしい。だけど僕が住んでいたアパートは激安物件で、いたるところに猫ちゃんが存在している猫ちゃんハウスだった)。

また道が非常に入り組んでいて、散歩していると今自分がどの辺を歩いているのかが分からなくなるのが快感で、まるで僕の人生のようだと思ったり思わなかったりした。

そのような意味でその辺りの散歩はむちゃくちゃ楽しい。

個性的な家々を眺めては色々夢想しながら歩くそんなルソー・スタイルな散歩ができる。


孤独な散歩者の夢想 (岩波文庫)


そして、こんなところにこんな雑貨屋やご飯屋さんがあったのかと、なんだかテンションが上がる偶然の発見。

そんな閑静で上品で洗練された街を歩いていると、自分まで心が洗われるようで、とても清々しく、ワクワクし、ウキウキするのだった。

 

西荻の醍醐味は散歩にあり。

そう言っても過言ではないかもしれない。

 

あと、少し歩くが、東京女子大学脇にある善福寺公園もオススメスポットだ。

僕はそこまで色々な公園を知っているわけではないが、好きな公園ランキング上位に位置するほど魅力的な公園だと思う。

善福寺公園はとても地味だと思う。隣の吉祥寺にある井の頭公園と比べると尚更そう感じてしまう。

それほど大きくなく、地味なこの公園の見せ所といえば、やはり池になるのだろう。

途中、横断歩道を挟んで上下に連なる2つの池は、井の頭公園、石神井にある石神井公園と並び、武蔵野三大湧水池なんて言われてたりする。

まあだからなんだって話で、池を見て特段すげーなんて思ったりしたことは僕はない。

ただ夜に行くと、池の周りに配置されている街灯が池に反射して、まことにムーディな雰囲気を漂わす。

僕がその公園に足繁く通っていた頃は、途中の横断歩道の脇に設置されてある自動販売機で紙コップのホットココアやコーヒーを買って飲みながら歩いた。

黄昏れるのにはもってこいの場所なんですね。

ただ夜は結構ムーディにはなるが、休日のお昼頃行くと、イベントだったり親子連れで結構賑わってたりもする。

そんな色々な表情を持つ公園。

ただやはり結構地味だと思う。

でも、そこが善福寺公園の魅力だとも思う。

www.tokyo-park.or.jp

 

 

西荻は、両隣の吉祥寺や荻窪に比べると規模の小さい街だ。

そして大手企業やチェーン店があまり目立たなく、個人経営や小さな店の方が目立っている印象がある。

大手やチェーン店ばかりの街は、均一化され個性を失っていくようにみえる。

逆に西荻のような街は個性が出て、角が出て、なんだか捻くれているような印象を持つ。

だから西荻の店は一見さんお断り感を纏っていて、入るのを躊躇させる時がある。

まあでもそれは各人の主観によるか。ただ単に僕が初めての店に入るのに少しの勇気を必要とする性格だからそう思うのかもしれない。

実際入ってみると全然そんなことはなく、居心地が良いと思う時の方が多いしね。

西荻は上品だが、駅前には居酒屋がたくさんあって、夜行くと酔っ払いさんが結構いて、そこに素朴さも感じる。

そのコントラストも西荻の魅力かもしれない。

 

あと、バカみたいなことを言うが、地面のタイルがレンガ色というかエンジ色をしているのも上品さに一役かっているように思う。

なんかそれだけで洗練された印象を持ってしまうんですね。バカみたいな話ですが。

というかやはり地面もそうだが、周りの建物や家、店などの外観は、街の雰囲気を決定するなと、当たり前だけど改めて思った。

そういう雰囲気に影響されて、その街の住人もなんか染まっていっているように思う。

環境が人格を作るとは素直には受け入れ難いが、そういう部分も少なからずあるなと、住んでいて思った次第です。


住んでいた頃、結構好きだった本屋とお弁当屋さんが閉店してしまったのは残念だった。

「颯爽堂」なんて西荻にぴったりの屋号ではなかっただろうか。

結構店の入れ替えが激しかったりもしたな。

でもそのおかげで、新しく参入してきたお店で良いなと思える店にも出会えたりした。バス通りのレコード屋とか居心地良くて好きでした(今もありますが)

 

というか、別にもう一生行けなくなったわけでもないので、というか引っ越し先から無茶苦茶遠いとういうわけでもないので、行きたくなったら行ってやろうと思います。
8年間もいたのに、いつでも探索できると思い、あまりお店巡りもしなかったので、他住民になって今度こそはやってやろうとも思っています。

洗練されていて、上品で、素朴で、捻くれている街。

とても魅力的な街。

 

さよなら、西荻窪。

ありがとう、西荻窪。

 

それでは!

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