ハイハイで散歩中

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衝撃の結末!正義とは?悪とは?ドラマ「BORDER 警視庁捜査一課殺人犯捜査第4係」が面白かったです。

 

Amazonプライムで「BORDER 警視庁捜査一課殺人犯捜査第4係」を観ました。

この作品は、小栗旬さん主演で、2014年に木曜21時から放送していた連続ドラマです。

また、その続編「BORDER 贖罪」も、スペシャルドラマ版として2017年に放送されています。

2014年時、途中まで観ていた記憶があったのですが、なにかの拍子に観るのやめてしまってたんですよね。

そこで先日、また観てみようと思い、Amazonプライムにお世話になった次第です。


結論から言って、むちゃくちゃ面白かったです。

そもそも僕は、こういうアクションサスペンス系で、尚且つ主人公がキレ者の作品がドストライクに好きです。

また、原案・脚本が「金城一紀」さんというのも食指が動く動機になりました。

僕は金城一紀さんの作品が結構好きで、話題になった岡田准一さん主演の「SP」とか超ハマりましたし、2017年に、再度小栗さんとタッグを組んだ、「CRISIS 公安機動捜査隊特捜班」も大好きです。

あと、小説家としての活動も、数冊ですが追っていて、大ヒットを飛ばした映画の原作「GO」や、「フライダディフライ」、「レボリューションNo.3」なんかも読みました。

正直、小説家として発表した作品よりも、脚本家として発表した作品の方が僕は好きです。(『GO』は良かったですが)


「SP」や「CRISIS」なんかは、アクションがとにかく凄くて(特に岡田さんは役作りのために色々格闘技の訓練を受けたそうですが、今すげーマッチョ化してますよね)、子供の頃にジャッキー・チェンの映画を観て興奮した時と同じ興奮を僕は金城作品で味わうことができています。

あと金城作品の特徴として、政治的要素がかなり色濃く出ていると思います。

だから金城作品をあえてジャンルで括るなら、ポリティカル・アクションとでもなるのでしょうか。

そして、先日僕が観た「BORDER」も、やはりポリティカル・アクションでした。

ざっと内容を説明すると、小栗演じる主人公の刑事・石川は、とある犯人に頭を銃撃され、死にかけたものの、奇跡的に蘇生、しかし銃弾を頭の中に所有しながら生活を送ることになります。

そして、その頭の中の銃弾が原因で、死者と会話する能力を身につけ、その能力で色々犯罪を解決していきます。

しかし様々な事件に遭遇する中で、正義とはなんなのか?善悪とは?などの問題に悩まされ、最後石川の取った行動はいかに?みたいな感じです。


僕が好きな回はやはり最終回でした。

最終回の一つ前の回で、このドラマの一番の謎が解決してしまい、正直話は完結したかのように思って少し拍子抜けしてしまっていたんですが、いやいやそんな甘っちょろいもんではなく最終回でやってくれました。

「CRISIS」の最終回の時もそうでしたが、終わり方がとてもぞわっとするんですよね。おいおいその先どうなったんだよ!みたいな。

僕が最終回で好きな台詞があるのですが、

「あなたと私には決定的な違いがあります。私は、悪を成すためなら人を殺せます。でも、あなたは殺せないでしょ。この差は、永遠に縮まらないんです」

「絶対的な悪に勝つためには、絶対的な正義にならなくてはいけない。つまり、コインの裏表になるということです。はたから見れば、同じものに見えるということです」

確かにな、と思ってしまいました。

金城作品では、このような「善悪」や「正義」の問題が結構テーマになっているよう気がします。「SP」しかり、「CRISIS」しかり。

そして、この「BORDER」最終回のタイトルが、「越境」となっているんですが、これも金城さんがよく使うメタファーというか概念だと思います。いわゆる「境界」を大事にするというか。

例えば映画版「SP」でも最後、主人公の岡田準一の仁王立ちのシーンで終わるのですが、その足元を見ると、太陽の光と影の狭間に岡田が立っていることが分かり、それはとある境界を示唆しているようにもとれます。

また、ふと思い出したのですが、作品をかなり遡れば、作品「GO」で、主人公の杉原(映画では演・窪塚洋介)と、ヒロインの桜井(演・柴咲コウ)が初めて色々会話した場所が、夜の学校の校庭の中なのですが、そこに入るために、鉄扉、つまり閉まっている校門を飛び越えるシーンがあるんです。

そして、感動のラストシーンでも、同じく夜の校庭のシーンで、杉原が怒鳴りながら鉄扉を飛び越える。

確か、「GO」のDVDの特典映像で、行定監督が、外側と内側の構図を作る、「鉄扉」が境界線のメタファーになっている、と解説していたように思います。

これは金城さんが書いた原作にもあるシーンなので、やはり初期段階から、「境界」とか「越境」という設定が金城さんの中に根付いていたということなんでしょうか。

「国境線なんか、俺が消してやるよ」

そんな台詞もありましたね。「GO」また見返したくなりました。


今回の「BORDER」では、上記でも触れましたが、劇中で「善悪」の関係を、コインの裏表、つまり「表裏一体」として描写しているシーンがありますが、僕が作品全体を通して観て直観的に思ったのは、「善悪」の関係はデジタル時計のように次の数字へいきなりジャンプするのではなく、アナログ時計のようにグラデーション的に繋がっているもののように感じました。

衝撃の最終回から数年経った2017年のスペシャルドラマ版では、その善悪のグラデーションがじっくり描かれているように僕には感じられました。

このスペシャル版も面白く、ラストシーンでの石川と犯人の対話は、映像美も含めて、中々見応えがあると思います。


また、この作品を観て、改めて俳優・小栗旬の魅力を感じました。

カッコいいのは勿論なんですが、演技がなんか良いんですよ。いや、なんか良いんです。うん、なんか良い。としか僕には言えないんですが。

というかその役柄含めて「カッコいい」と視聴者に思わせたら勝ちなんではないかと思います。ブラピとかディカプリオとかにもそういう印象があるんですけど。

正直、銀魂とかあんま好きじゃないんですけど(漫画とアニメは好きです)、金城作品の時はむっちゃ良いんですよ。これからもっと期待したいですね。


この「BORDER」では、「SP」や「CRISIS」ほどにはアクションシーンが少ないように思いますが、抽象的な、考えさせるテーマがズドーンと来て、これはこれで面白かったです。

金城作品は、政治的テーマや、ショッキングな内容も多く含んでいるため、賛否両論あるかとは思いますが、それら丸ごと含めて良質なエンターテイメントだと思います。

Amazonプライムで観れるので、まだ観てない方はぜひ観て欲しい作品です。

それでは!